パーソナルジムの料金は医療費控除の対象か
年間で20万円、30万円と払う契約です。確定申告で戻せないか、と考えるところです。
条文は、対象になるものを数え上げる形で書かれています。そこに何が入っていて何が入っていないかで決まります。
医療費の中身は、法律ではなく政令にある
所得税法73条1項が医療費控除を定めていて、2項が「医療費」の中身を政令に送っています。
前項に規定する医療費とは、医師又は歯科医師による診療又は治療、治療又は療養に必要な医薬品の購入その他医療又はこれに関連する人的役務の提供の対価のうち通常必要であると認められるものとして政令で定めるものをいう。
「政令で定めるもの」なので、法律の文言だけでは決まりません。その政令が所得税法施行令207条です。
法第七十三条第二項(医療費控除)に規定する政令で定める対価は、次に掲げるものの対価のうち、その病状その他財務省令で定める状況に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額とする。
「次に掲げるもの」と書いて、そのあとに一号から七号までが並びます。
並んでいるのは、資格を持つ人が行うもの
七つの号に挙がっているのは、医師または歯科医師による診療・治療、治療や療養に必要な医薬品の購入、病院や診療所などへ収容されるための人的役務の提供、四号の施術、保健師・看護師・准看護師による療養上の世話、助産師による分べんの介助、介護福祉士による喀痰吸引等です。
パーソナルトレーニングは、この中にありません。トレーナーの指導も、食事のアドバイスも、施設の利用料も出てきません。
四号が挙げているのは、免許のある施術
読者が引っかかりやすいのが四号です。
四あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(昭和二十二年法律第二百十七号)第三条の二(名簿)に規定する施術者(同法第十二条の二第一項(医業類似行為を業とすることができる者)の規定に該当する者を含む。)又は柔道整復師法(昭和四十五年法律第十九号)第二条第一項(定義)に規定する柔道整復師による施術
「第三条の二(名簿)に規定する施術者」なので、名簿に登録された免許のある人が行う施術を指しています。柔道整復師も同じです。
つまり同じ「体に触れる施術」でも、免許のある人が行うものだけが四号に入ります。もみほぐしやリラクゼーションの店がこれに当たるかは、施術者が免許を持っているかで分かれます。線の引き方はもみほぐしに資格が要るかは条文に書かれていないにまとめました。
払ったもの施行令207条の中の位置
- パーソナルトレーニングの指導料・施設利用料七つの号のどれにも挙がっていない一号の診療・治療にも、四号の施術にも当たらない
- 名簿に登録された施術者による施術四号に挙がっているあん摩マツサージ指圧師・はり師・きゆう師・柔道整復師。免許の有無で分かれる
- 医師の診療や治療一号に挙がっている治療のために医師が運動を指示した場合の扱いは、その指示の中身による
指定を受けた運動療法施設という枠がある
運動そのものが医療費控除の対象になる道が、まったく無いわけではありません。厚生労働大臣が指定した運動療法施設で、医師の処方に基づいて運動療法を行った場合の施設利用料が対象になる仕組みが置かれています。
ここで効いてくるのは2つです。施設が指定を受けていることと、医師の処方があること。片方だけでは足りません。
だから確かめる順序も決まります。自分が通うジムがその指定を受けているかは施設側に聞き、処方のほうは医療機関で受け取ることになります。指定を受けていない施設で医師の指示だけがある場合は、施設利用料の側が対象になりません。
パーソナルジムの多くはこの指定を持っていません。持っていると案内している場合は、指定の番号や証明書の発行を受けられるかを聞くところです。
「著しく超えない部分」という上限もある
207条の柱書には、もう1つの条件が入っています。「その病状その他財務省令で定める状況に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額」です。
号に挙がっていても、金額が水準を著しく超える部分は対象から外れます。号に入ることと、全額が対象になることは別ということになります。
控除できる額の計算
73条1項は、支払った医療費の合計から差し引く額を定めています。総所得金額等の5%と10万円のうち低いほうを引き、残りが控除される額です。上限は200万円です。
保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く
括弧の中で補てんされた分を除くとしているので、保険金を受け取っていればその分は入りません。
確かめる順番
- 払った先が施行令207条の号に挙がっているかを見る
- 挙がっているなら、領収書に施術者の資格が書かれているかを確かめる
- 医師の指示で運動をしている場合は、その指示の書面を残す
- 最終的な判断は税務署に聞く
4番目を飛ばさないところです。このページで書けるのは条文に何が並んでいるかまでで、個別の契約が当たるかどうかは申告先が判断します。
料金の総額を出す手順はパーソナルジムの料金と相場の見方にあります。総額が5万円を超え期間が1か月を超える契約なら、途中でやめたときに返る額の上限が決まっていて、そこはパーソナルジムの中途解約と請求できる額の上限にまとめました。
まとめ
- 所得税法73条2項が医療費の中身を政令に送っていて、施行令207条が七つの号を挙げている
- パーソナルトレーニングの指導料と施設利用料は、その七つのどれにも入っていない
- 四号は名簿に登録された施術者と柔道整復師による施術で、免許の有無で分かれる
- 柱書に「一般的に支出される水準を著しく超えない部分」という上限がある
- 補てんされた金額は73条1項の括弧書きで除かれる