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ヘッドスパの回数券は解約できるか

公開

ヘッドスパは1回ずつではなく、回数券やコースでまとめて売られていることがあります。何回か通ったところで行けなくなったとき、残りの分が返るのかどうか。ここには条文の線があります。

このページは、その線がどこにあるのかと、店の側に別の法律がかかっていることを扱います。どちらも申し込む前に自分で確かめられます。

頭皮の施術は、施行令の一の項に入りうる

特定商取引に関する法律施行令の別表第四に、あとからやめる権利が付く役務が並んでいます。その一の項がこれです。

人の皮膚を清潔にし若しくは美化し、体型を整え、又は体重を減ずるための施術を行うこと(二の項に掲げるものを除く。)。

読むところは「人の皮膚を清潔にし若しくは美化し」です。部位を限っていないので、頭皮に対する施術もここに入りうる書き方になっています。顔や体に限る文言はありません。

括弧の「二の項に掲げるものを除く」は美容医療のことです。医師が行う施術はそちらへ行きます。この記事が扱うのは一の項のほうです。

一の項の期間の欄は一月です。パーソナルジムと同じ枠で、パーソナルジムのクーリングオフ条件で扱った線がそのまま当たります。

期間と金額の両方を超えたときだけ

対象になる契約の形は、特定商取引法41条1項1号にあります。

役務提供事業者が、特定継続的役務をそれぞれの特定継続的役務ごとに政令で定める期間を超える期間にわたり提供することを約し、相手方がこれに応じて政令で定める金額を超える金銭を支払うことを約する契約

金額のほうは施行令24条2項です。

法第四十一条第一項第一号の政令で定める金額は、五万円とする。

両方を超えたときだけ対象になります。片方だけでは足りません。1回8,000円のヘッドスパを6回分まとめて48,000円で買った場合、金額が5万円に届かないので外れます。

回数券では「期間」を有効期限で読む

回数券で迷うのはここです。契約書が「◯か月コース」という形になっていなくても、回数券には有効期限が付いていることが多く、その期限が役務を提供する期間になります。

有効期限が1か月以内

  • 期間の要件を満たさない
  • 金額が五万円を超えていても対象にならない
  • 概要書面もクーリング・オフも中途解約の上限も付かない

有効期限が3か月・6か月・1年

  • 期間の要件を満たす
  • 金額が五万円を超えていれば対象になる
  • 申し込む前に書面が渡される

期間の定めをどこから読むかが変わるだけで、判定に使う数字は同じ一月と五万円

回数券の有効期限で、解約の権利が付くかが分かれる(特定商取引法41条1項1号・施行令 別表第四 一の項)

有効期限がどこにも書かれていない回数券もあります。その場合は期間の定めを読めないので、申し込む前に何か月使えるのかを聞いて、書面に残してもらうことになります。口頭で「いつまででも使えます」と言われた形は、あとから確かめられません。

「期限なし」と書いてある回数券もあります。こちらは期限が分からないのではなく、期間を区切らないと決めてあることになります。41条1項1号は「政令で定める期間を超える期間にわたり提供することを約し」なので、期間を区切らない約束がこの「期間を超える期間」に当たるかは、条文の文言だけからは読み切れません。

金額の側が五万円を大きく超えていても、期間の側が決まらないと判定が止まります。通う側にとっては期限が無いほうが自由ですが、やめたいときにいくら返るかは別の話になります。ここも、途中でやめる場合の扱いを先に聞いておくところです。

払った額がいくら返るかはパーソナルジムの中途解約と請求できる額の上限にまとめました。事業者が請求できる額には条文が上限を置いています。

店の側には美容師法がかかる

契約とは別に、施術を行う側にかかる法律があります。美容師法の2条1項が「美容」を定義しています。

この法律で「美容」とは、パーマネントウエーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすることをいう。

「等の方法により、容姿を美しくすること」なので、挙がっている3つに限られていません。髪や頭皮を扱う施術がここに当たるなら、次の条文が続けて効きます。

美容師法6条です。

美容師でなければ、美容を業としてはならない。

施設の側にも定義が置かれています。美容師法2条3項です。

この法律で「美容所」とは、美容の業を行うために設けられた施設をいう。

その美容所には届出があります。美容師法11条1項です。

美容所を開設しようとする者は、厚生労働省令の定めるところにより、美容所の位置、構造設備、第十二条の三第一項に規定する管理美容師その他の従業者の氏名その他必要な事項をあらかじめ都道府県知事に届け出なければならない。

届け出る先は都道府県知事で、届出は開設する前です。あとから出すものではありません。

従業者の数で、置く人が変わる

12条の3第1項に、もう1つの条件があります。

美容師である従業者の数が常時二人以上である美容所の開設者は、当該美容所(当該美容所における美容の業務を含む。)を衛生的に管理させるため、美容所ごとに、管理者(以下「管理美容師」という。)を置かなければならない。

美容師である従業者が常時二人以上いる店では、管理美容師を置くことになります。同条2項は、その管理美容師を免許のあと三年以上の業務と、都道府県知事が指定した講習会の修了で決めています。

店の規模で条件が変わるので、小さい店に管理美容師がいないことは、それだけでは何も示しません。確かめられるのは、美容所として届け出ているかどうかまでです。

申し込む前に確かめる順番

  1. 回数券かコースか。有効期限は何か月か
  2. 払う総額はいくらか。五万円を超えるか
  3. 1と2の両方を超えるなら、申し込む前に概要書面(契約する前に渡される、料金と解約の条件を書いた書面)が渡されるはず
  4. 施術を行う店が、美容所として届け出ているか

3番目が渡されない場合、事業者が対象外だと判断していることになります。そのときは、期間と金額のどちらで外れていると考えているのかを聞きます。「対象外です」だけでは、こちらから確かめようがありません。

4番目は店内の掲示や、公式サイトの店舗情報で分かることがあります。分からなければ、店舗のある自治体の保健所に問い合わせる道があります。届出を受けるのが都道府県知事なので、記録はそちら側にあります。

同じ「手で体に触れる施術」でも、あん摩・マッサージ・指圧にあたるなら別の法律の免許が要ります。線引きが条文に無いことはもみほぐしに資格が要るかは条文に書かれていないにまとめました。

結果が確実でないことは、法律の前提

ヘッドスパの宣伝には、髪や体の調子についての説明が付くことがあります。このサイトはそうした説明を確かめる方法を持たないので、記事では扱いません。

条文の側から言えることは、特定継続的役務が指定された理由のほうです。特定商取引法41条2項2号は、この分野の役務の要件をこう書いています。

役務の性質上、前号に規定する目的が実現するかどうかが確実でないもの

結果が確実でないことは、法律がこの分野を対象にした前提です。確実なら、あとからやめる権利を用意する必要がありません。

料金の見方はパーソナルジムの料金と相場の見方にまとめました。下限表示と入会金の扱いは、ヘッドスパでも同じです。

契約でもめたときの相談先は、消費者ホットライン 188 です。最寄りの消費生活センターにつながります。

まとめ

  • 施行令 別表第四 一の項は「人の皮膚を清潔にし若しくは美化し」と書いていて、部位を限っていない
  • 一の項の期間の欄は一月。金額は施行令24条2項の五万円
  • 回数券では有効期限が期間の定めになる。書かれていないなら聞いて書面に残す
  • 美容師法2条1項の「美容」に当たるなら、6条の免許と11条1項の届出が要る
  • 美容師である従業者が常時二人以上の美容所には、12条の3第1項の管理美容師が要る

出典