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パーソナルジムの誇大広告はどこまで見られるか

公開

ジムやサロンの広告には、いろいろな数字と名前が並びます。何か月で何キロ、誰が監修、どこが最安。

どこまでが法律に見られているのか。特定継続的役務提供(1か月を超えて続き、5万円を超える契約だけが対象になる決まり)には、広告について専用の条文が置かれています。

43条が見ているもの

特定商取引法43条です。

役務提供事業者又は販売業者は、特定継続的役務提供をする場合の特定継続的役務の提供条件又は特定継続的役務の提供を受ける権利の販売条件について広告をするときは、当該特定継続的役務の内容又は効果その他の主務省令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。

条文が名指ししているのは「内容又は効果」までで、あとは「その他の主務省令で定める事項」に送られています。中身は省令のほうにあります。

省令が9つ並べている

特定商取引に関する法律施行規則103条です。

法第四十三条の主務省令で定める事項は、次のとおりとする。一役務又は権利の種類又は内容二役務の効果又は目的三役務若しくは権利、役務提供事業者若しくは販売業者又は役務提供事業者若しくは販売業者の行う事業についての国、地方公共団体、著名な法人その他の団体又は著名な個人の関与四役務の対価又は権利の販売価格五役務の対価又は権利の代金の支払の時期及び方法六役務の提供期間七特定継続的役務提供等契約の解除に関する事項(法第四十八条第一項から第七項まで及び第四十九条第一項から第六項までの規定に関する事項を含む。)八役務提供事業者又は販売業者の氏名又は名称、住所及び電話番号九第四号に定める金銭以外の特定継続的役務提供受領者等の負担すべき金銭があるときは、その名目及びその額

効果だけではありません。四号に「役務の対価」、七号に「解除に関する事項」、九号に「それ以外に負担すべき金銭」が入っています。料金の表示も、やめ方の表示も、追加でかかる費用の表示も、43条の対象になります。

三号も読むところです。「著名な法人その他の団体又は著名な個人の関与」。監修や推薦を掲げる表示がここに当たりうることになります。

根拠を出させる仕組みが、こちらにはある

43条の2です。

主務大臣は、前条に規定する表示に該当するか否かを判断するため必要があると認めるときは、当該表示をした役務提供事業者又は販売業者に対し、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。

「前条に規定する表示」なので、43条が対象にしているものすべてです。省令が価格も解除も含めている以上、そこにも資料の提出を求められることになります。

景品表示法で見る

  • 7条2項が名指しするのは5条1号
  • 価格の5条2号には同じ規定が置かれていない
  • 価格の根拠は自分で聞くことになる

特定商取引法で見る

  • 43条の2は前条に規定する表示すべてが対象
  • 施行規則103条の四号に役務の対価が入っている
  • 価格の表示にも資料の提出を求められる

根拠の資料を出させる規定が、価格の表示にも及ぶかどうかが分かれる

同じ価格の表示でも、どちらの法律で見るかで扱いが違う(景品表示法7条2項・特定商取引法43条の2)

同じ広告でも、どちらの法律から見るかで扱いが変わります。景品表示法の価格の側は5条2号ですが、7条2項が名指ししているのは5条1号だけです。景品表示法の側だけを見ると、価格には根拠を出させる規定が無いという結論になります。そこは初回限定価格の「通常価格」は誰が確かめるかにまとめました。このジャンルには、もう一本の道があります。

ただし動くのは主務大臣で、読者ではありません。読者が直接資料を請求できる規定ではないので、契約する前に自分で聞くという手順は変わりません。

43条が当たる契約とそうでない契約

43条は特定継続的役務提供の章にあります。契約が期間と金額の線を超えていなければ、この条も当たりません。線の数え方はパーソナルジムのクーリングオフ条件にあります。

超えていない契約の広告は、景品表示法や、通信販売の規定の側で見ることになります。同じ店の広告でも、どのプランを指しているかで当たる条文が変わることがあります。

勧誘のときの規定とは別

広告と勧誘は別の条文です。43条が広告、44条が勧誘のときの禁止行為で、取り消せるかどうかは49条の2にあります。そちらはパーソナルジムの勧誘で話が違ったときにまとめました。

広告を見て申し込み、体験の当日に説明を受けて契約するという流れだと、43条と44条の両方が関わることになります。広告に書かれていたことと、当日に言われたことが違う場合もあります。

当日に言われたことにも、資料を出させる条文がある(44条の2)

資料の提出を求められるのは広告だけではありません。44条の2です。

主務大臣は、前条第一項第一号又は第二号に掲げる事項につき不実のことを告げる行為をしたか否かを判断するため必要があると認めるときは、当該役務提供事業者又は当該販売業者に対し、期間を定めて、当該告げた事項の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。

こちらには、43条の2に無いものが付いています。 同じ条文の後半で、資料を出さなかった場合に不実のことを告げる行為をしたものとみなすとされています。

広告のほうは資料が出てこなくても、それだけで違反が決まるわけではありません。勧誘のほうは、出てこなければ告げたものとして扱われます。口で言ったことのほうが、書いたことより後から確かめにくいためです。

読者の側から見ると、当日の説明も条文の対象になっているという意味になります。ただし資料を求めるのは主務大臣で、読者が直接求められるものではありません。手元でできるのは、言われたことをその場で書き留めておくことです。

号ごとに、広告のどこを指しているか

省令の並びは、広告のどの部分に対応するかで読み分けられます。

一号と二号は「何をするサービスで、どうなるか」。トレーニングの内容と、体重や体型についての説明がここです。二号が「効果又は目的」なので、目標として掲げている状態も入ります。

四号と九号は金額です。四号が役務の対価、九号がそれ以外に負担すべき金銭の「名目及びその額」。入会金・事務手数料・ウェアやドリンクの代金を広告に出すなら、名目と額の両方が対象になります。

五号は支払いの時期と方法。分割払いの回数や手数料の表示がここに当たります。六号は提供期間で、「2か月」「12回」といった表示です。

七号がやめ方です。48条1項から7項までと49条1項から6項までに関する事項が括弧で名指しされていて、クーリング・オフと中途解約ができるのは期間が一月を超え金額が五万円を超える契約だけですが、その契約について広告で触れるなら、やめ方の表示も誇大にできないことになります。

八号は事業者の氏名または名称、住所、電話番号。店舗名だけを出して運営者を書かない形は、この号が見ている範囲に入ります。

読むときに残しておくもの

  1. 広告の画面。日付が入る形で保存する
  2. 数字に注記が付いているか。個人差、条件、期間
  3. 監修や推薦の表示があるなら、誰の関与なのか
  4. 料金の表示と、それ以外に負担するものの表示
  5. やめ方の表示。書いてあるなら、契約書面と突き合わせる

4番目と5番目が省令の四号・七号・九号に対応します。広告の段階でこれらを控えておくと、契約書面と食い違ったときに手元に材料が残ります。

あん摩・マッサージ・指圧の免許を要する施術所には、これとは別に広告できる事項を限る条文があります。そこはもみほぐしに資格が要るかは条文に書かれていないにまとめました。

契約でもめたときの相談先は、消費者ホットライン 188 です。最寄りの消費生活センターにつながります。

まとめ

  • 43条は「内容又は効果その他の主務省令で定める事項」について誇大な表示を禁じている
  • 施行規則103条が対象を並べていて、対価・支払いの時期と方法・提供期間・解除に関する事項・事業者の氏名住所電話・それ以外の負担が入っている
  • 三号に「著名な法人その他の団体又は著名な個人の関与」があり、監修や推薦の表示が当たりうる
  • 43条の2は前条に規定する表示すべてについて、合理的な根拠を示す資料の提出を求められるとしている
  • 景品表示法7条2項は5条1号だけを名指ししているので、価格の側の扱いが違う

出典